4.病理学概論

5 進行性病変(病的増殖)と細胞・組織の適応

E 創傷治癒、組織内異物の処理

1 創傷治癒・・・P53

創傷とは、皮膚や内臓器や組織の損傷や欠損。
創傷治癒は、組織の治癒へ向かっての修復現象。

皮膚の創傷治癒では、

表皮の損傷部位は扁平上皮が再生し、

真皮結合組織の損傷部には炎症反応肉芽組織形成を示しつつ組織の再生が生じ、
線維化をきたし、最終的には→瘢痕となり、治癒する。

炎症反応肉芽組織形成線維化瘢痕

a.肉芽組織

b.線維化・瘢痕


必修問題

第14回 午前9

正しいのはどれか。

1.創傷治癒では瘢痕形成後に肉芽組織が形成される。
2.肉芽組織には神経細胞増生が起こる。
3.創傷治癒では脂肪化から瘢痕となり治癒する。
4.肉芽組織には多数の毛細血管の新生が起こる。

正解 4


2 骨折の治癒過程・・・P54


必修問題

第22回 午前9

骨折の治癒過程の順序で正しいのはどれか。

1.血腫→肉芽組織→類骨→仮骨→骨折治癒
2.血腫→類骨→肉芽組織→仮骨→骨折治癒
3.血腫→類骨→仮骨→肉芽組織→骨折治癒
4.血腫→肉芽組織→仮骨→類骨→骨折治癒

正解 1


3 異物の処理・・・P56

体外から入った異物(炭粉、手術の縫合糸、寄生虫卵、金属粉など)や、
体内で異物化したもの(死滅した細胞組織、血栓、炎症滲出物など)は、
生体の反応機構のより排除器質化被包などの処理がなされる。

a.異物の排除

b.器質化

c.被包


6 炎症

B 炎症の分類

2 炎症の形態による分類・・・P66

  1. 滲出性炎←急性炎症
  2. 増殖性炎←慢性炎症
  3. 特異性炎←慢性炎症
    (肉芽腫性炎ともよばれる、実は増殖性炎の一種)

a.滲出性炎

  1. 漿液性炎
  2. カタル性炎
  3. 繊維素性炎
  4. 化膿性炎
    • 膿瘍
    • 蜂巣(織)炎(蜂窩織炎)
    • 蓄膿
  5. 出血性炎
  6. 壊疽性炎

b.増殖性炎

慢性間質性炎ともよばれる。

  1. 間質性肺炎
  2. 肝硬変

c.特異性炎(肉芽腫性炎)

肉芽腫炎ともよばれる。増殖性炎に含まれる。

  1. 結核
  2. 梅毒
    ゴム腫
  3. ハンセン病
    らい腫
  4. サルコイドーシス
  5. 野兎病
  6. 鼠径リンパ肉芽腫

必修問題

第23回 午前9

カタル性炎で正しいのはどれか。

1.体腔に漿液が貯留する。
2.結合組織内に多量の好中球が浸潤する。
3.粘膜の炎症で粘液分泌の亢進が著しい。
4.繊維素の析出が著しい。

正解 3

★炎症の形態による分類には何があるか覚えましょう!また、急性なのか慢性なのかも覚えましょう!
★★各炎症の形態には何があるのか覚えましょう!またキーワードも覚えましょう!
★★★余裕のある人は各項目の内容も理解しましょう!


7 免疫異常、アレルギー

D アレルギー・・・P80

2 アレルギーの5型・・・P81

a.Ⅰ型(アナフィラキシー型反応)

抗原(アレルゲン)が、肥満細胞の表面のIgEと結合してヒスタミンを分泌することによって起こる。
肥満細胞は活性化してヒスタミン、ロイコトリエンなどの物質を遊離する。
ヒスタミン、ロイコトリエンは、血管透過性亢進、血管拡張、気管支平滑筋の収縮といった作用がある。

1) 局所反応

抗原が直接接触する皮膚や粘膜に起こる。
気管支喘息、花粉症、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどのアトピー性アレルギー。

2) 全身反応

抗原が血中に入った場合に起こる。アナフィラキシー型反応とよばれる。
ヒスタミンの血管拡張作用により、血圧降下、ショック(アナフィラキシーショック)、気管支平滑収縮作用により呼吸困難など重篤な症状を呈する。

b.Ⅱ型(細胞障害型反応)

IgGあるいはIgM抗体が結合して、細胞の障害が起こる反応。
赤血球で溶血が起こる。
異種輸血、Rh血液型不適合の場合の胎児赤芽球症(新生児重症黄疸)、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血。

c.Ⅲ型(免疫複合型反応)

抗原抗体複合体(免疫複合体)ができる。 アルサス現象、血清病、膠原病(SLEなど)。免疫複合体病ともよばれる。

d.Ⅳ型(遅延型反応)

細胞性免疫反応ともよばれる。24時間以上経過してピーク。
接触性皮膚炎(かぶれ)、ツベルクリン反応、移植片対宿主病(GVHD)、金属アレルギー。

e.Ⅴ型(刺激型反応)

抗体がレセプターに結合し、その細胞を刺激、機能を亢進する。
バセドウ病(グレーブス病)


必修問題

第16回 午前9

アレルギーⅣ型(遅延型反応)はどれか。

1.免疫複合体による反応
2.アルサス(Arthus)反応
3.ツベルクリン反応
4.アナフィラキシー反応

正解 3

★アレルギーの5型を覚えましょう!(例:Ⅰ型はアナフィラキシー型反応)
★★各型のキーワードを覚えましょう!
★★★余裕のある人は各型の内容も理解しましょう!


8 腫瘍

A 腫瘍の概念

3 腫瘍細胞・・・P88

a.腫瘍細胞の形態

良性腫瘍では異型性が少なく正常細胞に類似、細胞の形や大きさもそろっている。
悪性腫瘍では異型性が強く、核または細胞の大小不同や多形性が目立つ。

表8-1 良性腫瘍と悪性腫瘍の違い・・・P89

良性腫瘍悪性腫瘍
腫瘍増殖増殖の速度
増殖の形式
周囲との境界
壊死の傾向
遅い
膨張性
明瞭
乏しい
速い
浸潤性
不明瞭
著しい
生体への影響転位
再発
悪液質
予後
起こさない
少ない
ない
良好
起こす
多い
起こす
不良
腫瘍細胞分化度
異型性
核分裂
高い
弱い
少ない
低い
強い
多い


必修問題

第18回 午前9

良性腫瘍の特徴はどれか。

1.浸潤性に増殖する。
2.増殖速度が速い。
3.転位を起こす。
4.分化度が高い。

正解 4


必修問題

第15回 午前9

良性腫瘍の特徴について正しいのはどれか。

1.膨張性発育
2.播種
3.悪液質
4.強い異型性

正解 1


b.細胞骨格

中間径フィラメントを免疫染色で証明することで腫瘍細胞の由来や性格が明らかとなる。
次の多種の細胞骨格蛋白抗体が病理診断に利用されている。

  1. デスミン(筋細胞)
  2. ビメンチン(非上皮細胞)
  3. サイトケラチン(上皮細胞)
  4. GFAP(脳膠(脳グリア)組織)

c.腫瘍マーカー

  1. 癌胎児性抗原(CEA)
    大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌、肝癌、膵癌など。
  2. α-フェトプロテイン(AFP)
    肝癌(肝細胞癌)。
  3. CA19-9
    膵癌、胆嚢・胆管癌。
  4. PSA
    前立腺肥大症、前立腺癌。
  5. hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
    絨毛癌。

10 病因

B 内因・・・P128

1.素因と体質・・・P128

素因とは、あらかじめ疾病になりやすい内的状態をいう。

素因は一般的素因と個人的素因に分けられる。

一般的素因:年齢、性、人種、臓器など。
個人的素因:体質。

a.年齢

b.性

c.人種

d.臓器

e.体質

2.遺伝

3.内分泌障害

4.免疫

表10-1 おもな内分泌異常症

臓器ホルモン機能病名症状など
下垂体前葉

5.ストレス

a.ストレス病


必修問題

第17回 午前9

病因のうち内因でないのはどれか。

1.免疫
2.感染
3.遺伝
4.年齢

正解 2

★内因には何があるか覚えましょう!5つあります!
★★素因と体質には何があるか覚えましょう!5つあります!
★★一般的素因と個人的素因には何があるか覚えましょう!前者は4つ後者1つあります!
★★★余裕がある人は各項目の内容も理解しましょう!


C 外因

★外因には何があるか覚えましょう!3つあります!

1 栄養障害・・・P133←オマケ

★★栄養障害には何があるか覚えましょう!4つあります!

a.炭水化物、蛋白質、脂質

b.ビタミン

c.鉱物(ミネラル)

d.水


2 物理的外因・・・P137

a.機械的損傷

b.温度

c.放射線

d.光線

e.電気

f.気圧


必修問題

第19回 午前9

物理的外因と病態との組合せで誤っているのはどれか。

1.機械的損傷-挫滅症候群
2.高温-潜函病
3.放射線-血小板減少
4.光線-色素沈着

正解 2

★★物理的外因には何があるか覚えましょう!6つあります!


3 科学的外因・・・P142

a.古典的化学物質による障害

1) 腐食毒
2) 中毒

b.公害

1) 大気汚染
2) 水質汚染

c.内分泌攪乱物質(環境ホルモン)

d.医原病


必修問題

第20回 午前9

原因と疾患との組合せで誤っているのはどれか。

1.土壌汚染-アザラシ肢症
2.水質汚染-イタイイタイ病
3.大気汚染-慢性気管支炎
4.放射線被爆-白血球減少症

正解 1


必修問題

第21回 午前9

外因と疾患の組合せで正しいのはどれか。

1.アスベスト-悪性中皮腫
2.サリドマイド-スモン(亜急性脊髄視神経障害)
3.プリオン-骨軟化症
4.有機水銀-アザラシ肢症

正解 1

★★科学的外因には何があるか覚えましょう!4つあります!
★★古典的化学物質による障害と公害には何があるか覚えましょう!各2つずつあります!
★★★余裕がある人は各項目の内容も理解しましょう!